冗長性を確保するためにセカンダリ Connection Broker がサイトに追加されます。これにより、プライマリ Connection Broker に障害が発生しても、セカンダリ Connection Broker がリクエストを処理できるようになります。Connection Broker は、高可用性を確保するために、アクティブ/アクティブ構成で動作します。Connection Broker に障害が発生しても、負荷に対応可能な予備の Agent が常に待機しています。一般的に、N+1 の冗長構成をサイトごとに使用する必要があります。自動昇格に 3 つを超える Connection Broker を設定することはできません(自動昇格は本セクションで後ほど説明します)。
セカンダリ Connection Broker を 1 つ以上インストールしておけば、ランタイムデータが各 Agent に複製され、サービスに障害が発生した場合にもダウンタイムを最小限に抑えられます。さらに、いずれかのアクティブな Connection Broker が、AD および使用される二要素認証プロバイダーの両方の認証に使用されます。
プライマリ Connection Broker はセカンダリ Connection Broker と同じタスクを実行しますが、それ以外の役割も担います。つまり、単一の Connection Broker による管理が必要な特定のプロセスを管理します。次の表は、プライマリ Connection Broker とセカンダリ Connection Broker によって管理されるプロセスのリストです。
複数の Connection Broker の間で負荷分散がどのように機能するかを示すために、次の例を考えてみましょう。
Connection Broker が 2 つあるとします。その内訳は、PA1(プライマリ)と PA2(セカンダリ)です。
また、RD セッションホストが 10 台あるとします。RDS1、RDS2 ...RDS10 です。
発生する負荷は次のように分散されます。
RDS1、RDS2 ...RDS4 は、PA1 を優先 Connection Broker として使用します。
RDS5、RDS6 ...RDS10 は、PA2 を優先 Connection Broker として使用します。
セカンダリ Connection Broker のプランニング
同じサイトで実行されている RAS Connection Broker は、相互に通信し、負荷を分担します。1 つの Agent から別の Agent に伝送されるデータ量は膨大なため、信頼性の高い高速通信チャネルが求められます(例: Connection Broker の通信用にサブネットワークを構成できます)。
セカンダリ Connection Broker をサイトに追加して、その IP アドレスを指定します。すべての Agent の IP アドレスが、必ず同じネットワークセグメントに属するようにします。Connection Broker が相互の通信に使用するポートは、TCP 20030 です。
サイトに追加できる Connection Broker の数に物理的制限はありません。ただし、最も優れた結果が得られるのはエージェント数が 2〜3 のときです。特に、プロバイダーが存在し、VDI の高可用性を有効にしたい場合は、エージェント数を 3 個にするシナリオを強くお勧めします。2〜3 を超える数のセカンダリ Connection Broker をサイトに追加すると、逆の効果が生じ、実際にはシステムのパフォーマンスが低下する可能性があります。ただし、これはスタンバイモードのセカンダリ Connection Broker には当てはまりません。スタンバイモードのセカンダリ Connection Broker については、「RAS Connection Broker の構成」で説明されています。
RAS Connection Broker をサイトに追加する
セカンダリ Connection Broker を追加するには、次の操作を実行します。
RAS Console で、[ファーム] > <サイト> > [Connection Broker] に移動します。
[タスク] ドロップダウンリストをクリックし、[追加] を選択して、[RAS Connection Broker を追加] ウィザードを起動します。
[サーバー] フィールドは、RAS Connection Broker をホストするサーバーの FDQN または IP アドレスを指定します。IP アドレスを自動的に FQDN に解決するには、[名前解決] グローバルオプションを有効にします。詳細については、「ホスト名の解決」を参照してください**。**
[IP] フィールドは、サーバーの IP アドレスを指定します。[サーバー] フィールドに指定した FQDN を使用して IP アドレスを自動的に取得するには、[解決] ボタンをクリックします。
[代替 IP アドレス] フィールドでは、1 つ以上の代替 IP アドレスをセミコロンで区切って指定します。これらのアドレスは、RAS Secure Gateway が、FQDN または [IP] フィールドに指定されたアドレスを使用して RAS Connection Broker に接続できなかった場合に使用されます。これは Secure Gateway が、Active Directory に参加していない異なるネットワークから接続されている場合などに発生する可能性があります。
指定したサーバーに RAS Secure Gateway もインストールする場合は、[Connection Broker を使って Secure Gateway をイントール] オプションを選択します。このオプションを選択すると、[HTML5 ゲートウェイを有効化] オプションを選択することもできます(詳細については、「ユーザーポータルの構成」を参照)。
サーバー上のファイアウォールを自動的に構成するには、[ファイアウォールルールを追加] オプションを選択します。詳細は**「ポート参照」**を参照してください。
[次へ] をクリックします。
次のページで [インストール] をクリックして、RAS Connection Broker をサーバーにインストールします。[RAS Terminal Server Agent のインストール] ダイアログが開きます。
RAS Connection Broker をインストールするサーバーを選択して、[インストール] をクリックします。
[完了] をクリックします。
[OK] をクリックして、サーバーをファームに追加します。
プロセス
プライマリ Connection Broker
セカンダリ Connection Broker
PA(カウンター)のモニタリング
はい
はい
RD セッションホスト(カウンター)のモニタリング
はい
はい
プロバイダー(カウンター)のモニタリング
はい
はい
RDS セッション(再接続)のモニタリング
はい
はい
展開済みの RDS アプリケーションのモニタリング
はい
はい
VDI セッション(再接続)のモニタリング
はい
はい
システム設定の管理
はい
いいえ
ライセンス情報とハートビートの送信
はい
いいえ
CEP 情報の処理および送信
はい
いいえ
レポートサーバーへの情報の送信
はい
いいえ
RDS スケジューラーの管理
はい
いいえ
エンジン情報のレポート
はい
今後のバージョン
シャドーイング
はい
今後のバージョン
メール通知の送信
はい
いいえ
RAS Console から、RAS Connection Broker をホスティングしているサーバーで標準的なコンピューター管理タスクを直接実行できます。このタスクには、リモートデスクトップ接続、リモート PowerShell 接続、コンピューター管理、サービス管理、イベントビューアー、IPconfig、再起動などが含まれます。[ツール] メニューにアクセスするには、サーバーを選択して [タスク] をクリックし、[ツール] をクリックして目的のツールを選択します。要件と使用方法については、「コンピューター管理ツール」を参照してください。
セカンダリ Connection Broker を有効または無効にする
サイトでセカンダリ Connection Broker を有効または無効にするには、[Connection Broker] リストから目的の Agent を選択し、行の先頭にあるチェックボックスを選択またはクリアします。
セカンダリ Connection Broker の優先順位の変更
各セカンダリ Connection Broker には優先順位が与えられます。優先順位を変更するには、セカンダリ Connection Broker を選択し、上向き矢印と下向き矢印のアイコン(または [タスク] > [ムーブアップ] または [ムーブダウン])を使用して、リストの中で上下に移動します。リスト内で上に配置されている Agent ほど、優先順位が高くなります。
セカンダリ Connection Broker をプライマリに昇格します
プライマリ Connection Broker を復元できない場合、次の手順に従って、セカンダリ Connection Broker をプライマリに昇格できます。
昇格する Connection Broker サーバーで RAS Console を開きます(必要なファイルは、サーバーがセカンダリ Connection Broker としてサイトに追加されたときに、すべて自動的にインストールされています)。
[ファーム] カテゴリーを選択し、[Connection Broker] ノードに移動します。
Connection Broker を選択し、[タスク] > [プライマリへの昇格] をクリックします。
プロセスが完了したら、[OK] をクリックします。
自動昇格を構成する
プライマリ Connection Broker がオフラインになった場合、セカンダリ Connection Broker を昇格してプライマリと交代させる必要があります。自動昇格機能は、指定された時間が経過すると、これを自動的に実行します。
デフォルトでは、自動昇格はオフになっています。有効にするには、次の操作を実行します。
RAS Console で、[ファーム] > <サイト> > [Connection Broker] に移動します。
右ペインで [自動昇格] タブを選択します。
[自動昇格を有効にする] オプションを選択し、次のセカンダリ Connection Broker がプライマリに昇格するまでの時間を指定します。時間は、15 分間〜72 時間の間で設定できます(デフォルト値は 30 分です)。
元の Connection Broker が再度オンラインになったらプライマリに戻す場合は、[フェイルバックを有効にする] オプションを選択します。ライセンスサイトではこれにより、フェイルバックが 72 時間以内に発生した場合のライセンスアクティベーションが不要になります。ライセンスアクティベーションカウントダウンは常に RAS Console に表示されているため、管理者は、元のプライマリ Connection Broker がこの時間内に回復するかどうかを確認できます。元のエージェントが 72 時間を過ぎてからオンラインに戻った場合(かつファームがすでに再アクティベートされている場合)、元の Agent がセカンダリ Connection Broker になります。
注: 自動昇格を有効にするには、サイトに最低 3 つのアクティブな Connection Broker が必要です。3 つ未満の場合、自動昇格は無視されます。
不良な WAN リンクで別々の場所に Connection Broker が分割されている 1 つのサイトの場合、自動昇格は無効にする必要があることにも注意してください。リモートに配置されている Connection Broker の間にリンクがない場合、3 つ目の Connection Broker がスプリットブレインを防止するために監視します。
自動昇格が実行されるとき、RAS 管理者は以下のイベントについてメールを介して通知を受け取ります。
セカンダリ Connection Broker がプライマリに昇格された。
セカンダリ Connection Broker の自動昇格が失敗した。
自動昇格フェイルバックが完了した。
セカンダリ Connection Broker を削除する
セカンダリ Connection Broker を削除するには、対象の Connection Broker をリストで選択し、[タスク] ドロップダウンリストで [削除] をクリックします。
RAS Connection Broker では、公開済みのアプリケーションおよびデスクトップのロードバランスが実行されます。RAS Connection Broker は、Parallels RAS のインストール先のサーバーに自動的にインストールされ、プライマリ Connection Broker として指定されます。プライマリ RAS Connection Broker は各サイトに必須ですが、セカンダリ Connection Broker も追加できます。セカンダリ Connection Broker の目的は、プライマリ RAS Connection Broker の障害のためにサービスが中断し、ユーザーに影響を及ぼすのを防ぐことです。この章では、RAS Connection Broker をサイトに追加し、構成する方法について説明します。
サイトにインストールされた RAS Connection Broker を表示するには、RAS Console で [ファーム] > <サイト> > [Connection Broker] に移動します。右ペインの [Connection Broker] タブに、インストールされた Connection Broker が一覧表示されます。
サイトには、少なくともプライマリ Connection Broker がインストールされている必要があり、その [プライオリティ] 列にはプライマリであることが記されています。冗長性を確保するためサイトにセカンダリ Agent を追加することもできます(次のセクションで説明します)。
Connection Broker の構成を変更するには、Connection Broker を選択してから、[タスク] > [プロパティ] をクリックします(または [プロパティ] を右クリックします)。[プロパティ] ダイアログが開きます。このダイアログでは以下の内容を変更できます。
サイトでのサーバー有効化: Connection Broker を有効または無効にします。このオプションは、セカンダリ Connection Broker のみで有効になります。プライマリ Connection Broker では無効になっています。
サーバー: Connection Broker をホストするサーバーの FDQN または IP アドレスを指定します。IP アドレスを自動的に FQDN に解決するには、[名前解決] グローバルオプションを有効にします。詳細については、「ホスト名の解決」を参照してください。
IP: サーバーの IP アドレスを指定します。[サーバー] フィールドに指定した FQDN を使用して IP アドレスを自動的に取得するには、[解決] ボタンをクリックします。この IP アドレスは、複数の Connection Broker でリアルタイムで情報を共有するために使用されます。
代替の IP: 1 つ以上の代替 IP アドレスをセミコロンで区切って指定します。これらのアドレスは、RAS Secure Gateway が、FQDN または [IP] フィールドに指定されたアドレスを使用して RAS Connection Broker に接続できなかった場合に使用されます。これは Secure Gateway が、Active Directory に参加していないネットワークから接続されている場合などに発生する可能性があります。
説明: ユーザー定義の説明。
スタンバイ: 選択されている場合、セカンダリ Connection Broker をスタンバイモードにします。つまり、別の Connection Broker がオフラインになるまで、どのエージェントもこの Connection Broker に接続しません。このオプションは、すでに存在する 3 つを超えるすべての新しいセカンダリ Connection Broker で自動的に有効になります。システムパフォーマンスが低下する可能性があるため、3 つを超えるアクティブな Connection Broker を使用することは推奨されません。このオプションを使用して、3 つを超える Agent を使用することができますが、必要になるまでスタンバイモードにしておきます。詳細については、「セカンダリ Connection Broker」((secondary-connection-brokers.md)を参照してください。
変更が完了したら、[OK] をクリックして、RAS Console のメインウィンドウで [適用] をクリックします。
[Connection Broker] タブの [タスク] ドロップダウンリストには、以下の項目があります。
追加: RAS Connection Broker をサイトに追加します。セカンダリ Connection Broker の追加方法の詳細については、続くセクションを参照してください。
すべての Agent をアップグレード: Agent を現在のバージョンにアップグレードします。すべての Agent が最新の場合、この項目は無効になります。
ツール: 標準的なサーバー管理ツールのセットへアクセスできます。
トラブルシューティング: [Agent をチェック] メニュー項目により、Connection Broker が適切に機能していることを検証します。検証結果を確認し、オプションで Connection Broker をインストール(またはアンインストール)できるダイアログが開きます。[ロギング] メニュー項目を利用すると、ロギングを構成したり、ログファイルを取得/クリアしたりすることができます。詳細については、「ロギング」を参照してください。
プライマリへの昇格: セカンダリ Connection Broker をプライマリに昇格します。現在のプライマリ Connection Broker はセカンダリになります。
更新: Connection Broker リストを更新します。
削除: セカンダリ Connection Broker をサイトから削除します。プライマリ Connection Broker を削除するには、まずセカンダリ Connection Broker をプライマリに昇格させる必要があります。
設定監査: Connection Broker に加えられた変更を表示できる [設定監査] ダイアログが開きます。詳細については、「設定監査」を参照してください。
ムーブアップ および ムーブダウン: セカンダリ Connection Broker の優先順位を変更します(優先順位リストで上下に移動します)。
プロパティ: Connection Broker の [プロパティ] ダイアログが開きます(上記参照)。
上記で説明した Connection Broker エディターに加えて、利用可能な RAS Connection Broker についての概要も確認できます。このためには、次の操作を実行します。
RAS Console で、[ファーム] > <サイト> に移動します。
利用可能な RAS Connection Broker は、[サイト情報] タブの [Connection Broker] グループに表示されます。
Connection Broker エディターに移動するには、RAS Connection Broker を右クリックして、[エディターに表示] を選択します。
詳細については、「RAS コンソールでのサイト」を参照してください。
Connection Broker のいずれかが応答しない場合に、別の Connection Broker に自動的に接続するよう Parallels RAS を設定できます。
代替の Connection Broker への自動接続を有効にするには:
RAS Console で、メインメニュー(RAS Console ウィンドウ上部のメニュー)から [ツール] > [オプション] をクリックします。
[オプション] ダイアログで、**[必要に応じて自動的に別の Connection Broker に接続する] ** を選択します。
[OK] をクリックします