このセクションでは、[デスクトップを置換] オプションが有効な場合の動作と、このオプションが管理者にとって役に立つ理由を説明します。
有効な場合、デスクトップを置換する機能により、管理者はオペレーティングシステムを置換することなく、標準デスクトップをシンクライアントのような制限のあるデバイスに変換できます。
エンドユーザーには、Windows エクスプローラー、タスクバー、または通常新しいアプリケーションのインストールやシステム設定の変更を可能にするその他の Windows コンポーネントへのアクセス権が付与されません。ユーザーは、リモートアプリケーション、リモートデスクトップ、およびローカルで構成されたアプリケーションを含む、Parallels Client 内で構成されたアプリケーションのみ展開できます。ローカルアプリケーションが許可されているため、特定のアプリケーション(たとえば、特定の周辺機器と通信するソフトウェア)が必要だがそれをリモートで使用できない場合でも、ユーザーはそれを展開できます。
[デスクトップを置換] オプションが有効な場合、以下の機能が、対応するバージョンの Windows (7、8、8.1、10、11)に適用されます。
このモードでは、ユーザーはマウスと画面のコントロールパネルのアプレットにアクセスすることもできます。ユーザーは、Parallels Client のグローバルオプションおよび、クライアントファーム接続オプションを変更することができません。デバイスを管理モードに切り替えると、詳細管理機能が有効になります。
Windows デスクトップの置換機能がオフの場合、すべての制限が解除され、ユーザーは標準のデスクトップを使用できます。
以下のスクリーンショットは、[デスクトップを置換] オプションを有効にする前と後の Windows 10 デスクトップを示しています。
前
後
機能
7
8
8.1
10
11
デスクトップを Parallels Client で置換
X
X
X
X
X
スタートボタンの無効化
X
X
X
X
なし
コントロールパネルへのアクセスを制限
X
X
X
X
X
Windows キーの無効化
X
X
X
X
X
タスクマネージャーの無効化
X
X
X
X
X
クイックアクセスツールバーの無効化
なし
なし
なし
なし
なし
セキュリティマネージャー/アクションセンターの通知の無効化
X
X
X
X
X
タスクバーのロック
X
X
X
X
X
ピン留めされたアプリケーションの削除
X
X
X
X
X
メトロ画面の無効化(ユーザーは直接デスクトップ画面へ)
なし
X
X
X
X
ホットコーナーの無効化
なし
X
X
X
X
チャームヒントの無効化
なし
X
X
X
X
ヘルプの無効化
なし
X
X
X
X
Windows サイドバーの無効化
X
なし
なし
なし
なし
デバイスマネージャー機能を使用すると、管理者は、Windows 7 から Windows 11 までを実行する Windows デバイスをシンクライアントのような OS に変換できます。Windows デバイスを管理対象にするには、Windows 用 Parallels Client の最新バージョンが Windows デバイスで実行されている必要があります。
以下の手順では、Parallels Client を Windows コンピューターで設定する方法および Parallels RAS で登録し、管理する方法について説明します。
Parallels Client を Windows コンピューターにインストールする
Windows 用 Parallels Client をインストールおよび構成するには、以下の手順を実行します。Parallels Client のインストールおよび構成方法に関する詳細については、**「Windows 用 Parallels Client ユーザーガイド」**も参照してください。
https://www.parallels.com/products/ras/download/client/ から Windows 用 Parallels Client をダウンロードします。
RASClient.msi
または RASClient-x64.msi
をダブルクリックし、画面に表示される手順に従ってインストールウィザードを実行します。
[ファイル] > [新しい接続を追加] をクリックして、新規 Parallels RAS 接続を作成します: https://www.parallels.com/products/ras/download/client/。
[Parallels Remote Application Server] を選択して [OK] をクリックします。
次に、以下の接続プロパティを構成します。
プライマリ接続 - Parallels RAS の FQDN または IP アドレスを指定します。
ユーザー認証情報- ユーザー名、パスワード、ドメインを入力します。
[OK] をクリックすると接続が作成され、その接続をダブルクリックすると Parallels RAS に接続されます。
完了すると、Windows デバイスが [デバイスマネージャー] > [デバイス] の Parallels RAS Console に表示されます。
Windows デバイスの登録
Parallels RAS を構成して Windows デバイスを自動的に登録することも、手動での実行を選択することもできます。
Parallels RAS で Windows デバイスを手動で登録するには、次の手順を実行します。
RAS Console で、[デバイスマネージャー] > [デバイス] に移動します。
[デバイス] タブでデバイスを選択します。
[タスク] > [デバイスの管理] をクリックします。
デバイスが再接続されるまでデバイスの状態が [ペアを保留中] に変わります。[デバイスマネージャーポート] オプションが、ゲートウェイで有効になっていることを確認します。これを確認するには、次の手順を実行します。
[ファーム] > <サイト> > [Secure Gateway] に移動します。
ゲートウェイを選択し、[タスク] > [プロパティ] をクリックします。
[ネットワーク] タブをクリックして、[デバイスマネージャーポート] オプションが選択されていることを確認します。
デバイスが再接続されると、登録プロセスが完了し、デバイスの状態が [ログオン済み] にアップデートされます。これは、デバイスが Parallels RAS の管理対象になったことを示します。Windows PC で Parallels Client を実行しているユーザーは、メインの Parallels Client メニューで [ヘルプ] > [バージョン情報] をクリックして、PC が管理されていることを確認することもできます。この情報には、Parallels Client が Parallels RAS と通信するために使用する RAS Secure Gateway の情報が含まれています。
また、Windows デバイスを自動管理するように Parallels RAS を設定することもできます。このためには、次の操作を実行します。
RAS Console で、[デバイスマネージャー] カテゴリーを選択します。
[オプション] タブをクリックします。
[Windows デバイスを自動的に管理する] を有効にします。
これで、管理者はデバイスの状態を確認し、電源オン、電源オフ、再起動、ログオフなどの電源操作を実行できるようになります。
注: 一部の古いバージョンの Parallels Client を実行しているデバイスを管理することはできません。そのようなデバイスには**”サポートされていません”**と表示されます。
Windows デバイスをロックする
アクティブなセッションがある Windows デバイスをロックするには、リストで選択し、下部にあるツールバーの [ロック] 項目をクリックします。[ロック] アイコンは、選択したデバイスが [ログオン済み] 状態の場合のみ有効にされることに注意してください。
また、スケジューラーを使用してデバイス(またはデバイスグループ)をロックすることもできます。これについては、「Windows デバイスおよびグループの電源サイクルのスケジューリング」セクションで説明されています。
Windows デバイスをシャドーする
Windows デバイスをシャドーすることで、デバイスで Windows デスクトップに対するフルアクセスを取得し、ローカルアプリケーションとリモートアプリケーションを制御できます。
Windows デバイスをシャドーするには、次の操作を実行します。
RAS Console で、[デバイスマネージャー] > [デバイス] に移動します。
デバイスを選択し、下部にあるツールバーの [シャドー] アイテムをクリックします。
Windows ユーザーは、管理者によるデバイスの制御を許可するように要求され、アクセスの拒否を選択することもできます。管理者は、[承認要請] プロンプトを無効にすることができます。このためには、次の操作を実行します。
Parallels RAS Console で、**[デバイスマネージャー]**カテゴリーを選択して、右ペインの [Windows デバイスグループ] タブをクリックします。
グループを右クリックし、[プロパティ] を選択します。
[Windows デバイスグループ] ダイアログで、[シャドーイング] タブを選択し、[承認要請] オプションをクリアします。
デスクトップの置換
[デスクトップを置換] 機能を有効にすると、ユーザーはシステム設定の変更や新しいアプリケーションのインストールを制限されます。この機能が有効になっていると、Windows デスクトップが Parallels Client に置換され、シンクライアントのような OS に変換されます。実際のオペレーティングシステムの置換は不要です。この場合、ユーザーはアプリケーションを Parallels Client 以外から展開できないので、管理者が接続先のデバイスを高いレベルで制御できるようになります。
さらに、キオスクモードの場合は、ユーザーがデバイスの電源再投入の操作を実行できません(管理者モードでは電源操作を実行できます。下記の詳細を参照してください)。
**[デスクトップを置換]**機能を有効にするには、次の操作を実行します。
[デバイスマネージャー] カテゴリーで [Windows デバイスグループ] タブを選択します。
グループを右クリックし、[プロパティ] を選択します。
[OS 設定] タブをクリックします。
[デスクトップを置換] オプションを有効にし、オプションで [キオスクモード] オプションを有効にします。
[OK] をクリックします。
**注:**この機能を使用するには、Windows デバイスでユーザーモードから管理者モードに切り替えるための管理パスワードを設定する必要があります。
管理者モードへの切り替え
ユーザーモードの場合、ユーザーは、管理者が提供するアプリケーションしか使用できません。システム設定を変更するには、デバイスを管理モードに切り替える必要があります。
管理者モードに切り替えるには、システムトレイアイコンを右クリックし、[管理者モードに切り替え] を選択します。パスワードの入力を求めるメッセージが表示されたら、パスワードを入力します。
管理者モードとユーザーモードで利用できる機能を以下の表にまとめます。
Parallels Client の代替デスクトップを使用する場合のローカルアプリケーションの構成
管理者は、リモートアプリケーションまたはリモートデスクトップを展開し、ネイティブの OS を使用してリモート接続に必要なソフトウェアを展開する目的の場合に限り、[デスクトップを置換] オプションを有効にしてください。ただし、場合によってローカルアプリケーションが必要になることもあります。管理者は Parallels Client の代替デスクトップ内にローカルアプリケーションを表示するように構成することもできますが、その前に管理者モードに切り替える必要があります。
ローカルアプリケーションを公開するには、次の手順を実行します。
ユーザーのセッションをシャドーするか、ユーザーデバイスステーションを直接使用します。
Parallels Client 代替デスクトップを管理者モードに切り替えます。
[ファイル] > [新しいアプリケーションを追加] をクリックします。
アプリケーションの情報を入力します。
追加されたアプリケーションはアプリケーションランチャーに表示されます。
必要なすべてのアプリケーションを構成したら、ユーザーモードに戻ります。
機能
ユーザーモード
管理者モード
Parallels Client グローバルオプション
X
Parallels Client ファーム接続プロパティ
X
ローカルアプリケーションの構成
X
新しい RAS 接続の追加
X
新しい RDP 接続の追加
X
標準 RDP 接続とフォルダーの管理
X
ディスプレイの設定
X
X
マウスの設定
X
X
プリンターの設定
X
タスクマネージャー
X
コントロールパネル
X
コマンドプロンプト
X
Windows エクスプローラー
X
設定のインポート/エクスポート
X